地方創生ICOを調べてみた

仮想通貨

日本の地方自治体がICO。

「地域」を創る仮想通貨 西粟倉コイン公式サイト
https://nishiawakura.org

地方の現状と対策

人口減少や、若年層が収入を求めて都会へ行ってしまう為、地方の過疎化が進んでいます。
地方創生は、昔から言われていることで、税金なども使われていろいろな方法が試されていますが、これといって確実に成功する方法はないようです。

地方創生の成功事例として有名なのが「神山プロジェクト」です。ベンチャー企業などの誘致に成功し、地方創生に成功した事例として取り上げられています。
また、ICT(インフォメーション アンド コミュニケーション テクノロジー:情報通信技術)を用いた東白川村のフォレスタイル事業も有名です。

ですが、他の自治体がこれらの成功事例を真似すれば成功するかというと保証はありません。
では、衰退していくのをただ手をこまねいてみているしかないのでしょうか…。

ICO実施のねらい

地方に興味を持ってもらう、また資金を援助してもらう方法の一つで有名なのが…

「ふるさと納税」

です。応援したい自治体に寄附ができ、所得税や住民税の還付・控除が受けられ、さらに、地域の名産品などもらえます。
しかし、その自治体で名産品があればよいのですが、名産品がない自治体も多く、それらを作ったり、どこかから仕入れたりして在庫を抱えて、逆に寄付金よりも負債が増えるということもあるようです。

そうならないようにするための資金調達方法がICOです。
今回のプロジェクトはICOなので、実施側は初期のコストを減らすことができますが、ユーザー側は、他のICO同様にリスクを負うことになります。ICOは現状の定義では失敗しても返金の義務はありません。
つまり、ふるさと納税とは大きく異なります。

プレスリリースには、下記のような記述があります。

NAC(Nishi Awakura Coin)保有者に投票権が付与され、西粟倉村で事業を立ち上げようとするローカルベンチャーに投票することができます。ローカルベンチャーはより魅力的な事業を考案し、NAC保有者は地域づくりに参加することができます。

この文から、ふるさと納税のような対価に重点を置かず、ただの投資でもなく、一緒に経営して盛り上げるというアクティブマインドに重点が置かれているように感じます。
上記の公式サイトに、職種のリストと「関わる、情報を受け取る」という項目があります。投資だけでなく、自分自身が実際に地方創生に参加するということになりそうです。

後々は林業だけでなく「神山プロジェクト」のように、「サテライトオフィス」の誘致なども検討しているのかもしれません。

地方創生トークンエコノミーの可能性

実際に成功するかどうかは、やってみないと分かりません。

プレスリリースでは、今までの取り組みで、人口減少に歯止めがかかりつつあるというくだりがあります。

1980 年以降では、1990 年に人口がピークの 1,939 人に到達した後、減少傾向となって
いましたが、雇用を創出した移住政策の成果により、子どもの人数が増加しています。

現在の実施中の施策を加速させるための資金調達であれば成功する可能性もあります。

ICOで得た資金を何に利用するのか、発行したトークンの使い道、価値をどのように高めていくのか、海外へのアピール方法など、ホワイトペーパーが出来上がらないと詳細がわかりません。また、ICOは、国の基準策定待ちにもなりそうなのでプロジェクト実施にはまだ時間がかかりそうです。

ICOで資金が得られなかった場合どうなるのか。
今は仮想通貨が注目されていますが、価格下落により世間の興味が薄れて、ICOなどの投資分野への興味もなくなってしまわないか、同じようなプロジェクトが出てきた場合、他と差別化できる魅力的な要素を盛り込むこととができるか、ICO規制が入ることで参加するユーザー側の負担はないのかなど、外部要因へのリスク管理も必要になりそうです。

個人的にはどのように実現していくのか、地方創生の成功事例となれるのか、今後の展開が気になるプロジェクトです。

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