テザー(Tether)などのステーブルコインがその価格を安定して維持する仕組み

ステーブルコイン

つい最近、テザー(USDT)のステーブルコインとしての地位が大きく揺らぎました。

ビットコインの数万円の変動ではなく、数セントの変動ではあるものの、米ドルと1対1の交換を謳っているコインとしては致命的とも言えます。また、取引所Krakenでは、0.85ドルをマークしており、言ってることがおかしいじゃないか!ということで、考察を含め処理の仕組みを考えてみました。

1対1の取引じゃないのか

一番気になるのは、テザー(USDT)と米ドル(USD)との1対1を謳っているのに、なぜ、変動した価格でのトレードとなってしまうのか。

まず、1対1を謳っているのは、テザー社であって、取引所ではないという事です。

ビットコインをはじめ、多くの中央集権の仮想通貨取引所では、基本はサーバーデータでのみ取引が行われ、入出金の時だけコインを出し入れ(実際のブロックチェーンへの書き込み)しています。そうしなければ、あのスピードで取引はできません。
テザー(USDT)の取引においても、入出金の時だけ、テザー社で発行と償還を行っていると考えられます。

つまり、取引所のテザー(USDT)と米ドル(USD)ペアは、需要と供給のバランスによって価格が成立しているので、1対1とならないと考えられます。

もし、価格を維持しようとすると、取引所自体が価格維持のために売り買いを頻繁に行う必要もでてきます。ただし、それを行ったとしても、完全に1ドルをキープし続けることは不可能でしょう。

1対1の交換が発生した瞬間にテザー社とつなぎ込み、交換を行っていれば1対1は担保できそうですが、実際は、交換が完了するまでかなりの待ち時間が発生すると考えられ、それをやっているとは思えません。

取引所でUSDT/USD交換の仕組み

Krakenのような取引所USDT/USDペアの交換の仕組みは?というと、Krakenの取引所内で、ユーザーからテザー(USDT)を受け取って、米ドル(USD)を渡します。全てサーバーデータで処理します。

ユーザーがKrakenから別の場所にテザー(USDT)を移動しようとした時に、Krakenがユーザーの代わりに、テザー社に米ドル(USD)を入れて、その代わりにテザー(USDT)を受け取り、ユーザーに渡します(※1)。ユーザーは、テザー社が裏で処理しているのを意識せずに、別の場所にテザー(USDT)を移動できます。
※1:もしかしたら、Krakenでも完全にKYCを完了していないとテザー(USDT)を入出金できないかもしれません。マネロンなどの対策のため。

他のコインも取引所から、別の場所に移動しようとすると、移動まで1時間程度の時間がかかったりしますが、これは、裏でブロックチェーンの処理が行われているため、時間がかかっています。

テザー(USDT)と米ドル(USD)の交換で不足が発生することはないのか?

例えば、
6,000USDで6,000USDTを購入。

1BTCが6,000USDTの時に購入。

価格が上がって、1BTCが6,500USDTの時に売却して6,500USDT獲得。※1USDTの価格は、1.08倍になっています。

6,500USDTを6,500USDに交換する。

この場合、1対1の交換であれば、テザー社は、もともと預かっていない500USDをどこからか補完しないといけないと思います。

が、これは、ユーザーの入金だけで運用を考えた場合に不足が発生する疑問です。

実際は、ユーザーの入出金だけで資金が積みたてられているわけではなく、テザー社自体も準備金を使ってテザー(USDT)や現金を準備しています(これが疑惑となっている部分ですが)。そのため、テザー(USDT)が不足するという事態や、米ドル(USD)が足りないという事態は確率的にはないと考えられます。

また、この交換では、テザー社側は、米ドル(USD)が減りますが、テザー(USDT)が増えるので、テザー社内での1対1は担保されています。

参考:
外国為替相場の仕組み
内部のシステム

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