グロース株が優位とかバリュー株が優位はどうやって分かるのか?
株ニュースを聞いていると、「今後はバリュー株が優位」とか「グロース株が優位」といったことを耳にします。なぜ、どっちが優位と分かるのでしょうか?
どっちが優位なのか分かれば、持っている株を優位な方に移すことで、トレードでも優位になる可能性があります。
TOPIXのグロース株とバリュー株の優位をどうやって判断しているのかについて紹介します。
いろいろなTOPIX
グロースとバリューの優位を知るには、まずは基本となっているTOPIXについて、いろいろな種類のTOPIXを理解しておくと便利です。
TOPIXとは
TOPIX(東証株価指数)とは、東証市場第一部に上場する内国普通株式全銘柄を対象とする株価指数のこと。
TOPIX500とは
TOPIX500とは、時価総額や流動性の高い「TOPIX Core30」「TOPIX Large70」「TOPIX Mid400」の上位500銘柄で構成される株価指数のことです。
TOPIX Core30
TOPIX Core30は、TOPIXの中でも日本を代表する大型株30銘柄の株価指数のこと。ソニー、トヨタ、ファナック、キーエンス、花王、セブン&アイ、任天堂、NTTなどです。
TOPIX Large70
TOPIX Core30の次に時価総額や流動性の高い大型株70銘柄の株価指数のこと。大和ハウス工業、エムスリー、アサヒグループホールディングス、SUBARU、オリックス、三井不動産などです。
TOPIX Mid400
TOPIX 100の次に時価総額や流動性の高い中型株400銘柄の株価指数のこと。清水建設、長谷工コーポレーション、戸田建設、博報堂DYホールディングス、キューピー、ハウス食品などです。
※記載した銘柄はあくまで記事執筆時の例です。
このTOPIX500がグロースとバリューに分ける元の銘柄です。
TOPIX500のグロース株とバリュー株とは
グロースとバリューは「TOPIX500」の銘柄がさらに分類されるのですが、その基準となるのが「連結PBR」です。
連結PBRは、企業の子会社、関連会社などを一つにまとめて計算した時のPBR(株価純資産倍率)です。
PBRは、「株価」÷「純資産(株主が出資したお金)」で出した指標で、基本はPBR1倍が基準で1以上なら割高、1未満なら割安になります。
連結PBRを使ったグロースとバリューの算出方法は、東証指数算出要領に書かれており、下記のように分類しています。
TOPIX500グロース
TOPIX500の算出対象の中で、連結PBR上位約3分の1(TOPIX500の浮動株時価総額合計の約3分の1)に属する銘柄をTOPIX500グロースに選定する。(選定された銘柄は、TOPIX500グロースの算出対象となる。)
TOPIX500バリュー
TOPIX500の算出対象の中で、連結PBR下位約3分の1(TOPIX500の浮動株時価総額合計の約3分の1)に属する銘柄をTOPIX500バリューに選定する。なお、連結PBRがマイナスの銘柄は、TOPIX500バリューに選定する。(選定された銘柄は、TOPIX500バリューの算出対象となる。)
グロース・バリュー比率
グロース・バリューの算出方法についてはわかりましたが、これだけではどっちが優位なのかよくわかりません。
そこで使うのが「TOPIX500グロース」÷「TOPIX500バリュー」で割って出した「グロース・バリュー比率」です。
グロース・バリュー比率を見るときのポイント
グロース・バリュー比率を見るときの注目ポイントは、グラフの傾きを見ることが重要です。
どういうことかというと、1.8あった比率が継続して下落して1.1になっていた場合は、右下がりの傾き(右下がりのグラフ)になります。これは、グロースが不利になりバリューが優位になっているということです。
逆に、比率が0.7から1.1へ上昇して、傾きが右上がり(右上がりのグラフ)になっている場合は、バリューからグロースにシフトしていると考えられます。
グロースとバリューのメリットとデメリット
グロース株とバリュー株のメリットとデメリットは下記のとおり。
グロースが優位な時、バリューが優位な時をチェックしておくと、株を購入する時の参考になります。
グロース(成長株) | バリュー(割安株) | |
PER、PBR(一般的に) | 高い | 低い |
配当(一般的に) | 低い | 高い |
景気の影響 | 受けにくい | 受けやすい |
グロース優位やバリュー優位から分かること:まとめ
グロースとバリューは、TOPIX500の算出対象の中から連結PBRを使って判断しています。
- グロース:TOPIX500のうち、連結PBR上位約3分の1
- バリュー:TOPIX500のうち、連結PBR下位約3分の1
グロースとバリューのどっちが優位なのかは「グロース・バリュー比率」を見ると分かりやすい。
「グロース・バリュー比率」を見るときは直近の値ではなく、グラフの傾き(下がっているのか、上がっているのか)を確認する。