オリエンタルランドは、2023年10月30日に「2024年3月期 第2四半期決算説明資料」を公開しました。
それによると上半期実績の営業利益は770億円、前年同期比較で約2倍という好決算でした(前年の営業利益は379億円)。
そうなると「翌日からの爆上げ」を期待する人が多いと思いますが、寄りは急落で、その後急騰というジェットコースターのような値動きでした。終値は前日終値よりもプラスでしたが、寄りが異常な下げだったので、ここで売ってしまった人もいると思います。
この記事では、なぜ「寄りで下げたのか。」その理由について調べてみたことを紹介します。
※あくまで個人的な見解です。
決算発表が株価に与える影響
決算発表は企業の財務状況や業績に関する情報を投資家などに提供する重要なイベントで、株価に与える影響は大きいです。
以下、株価の上昇・下落に影響を与える主要な決算発表要因をピックアップしました。
利益・収益の実績 | ・業績が良いと通常は株価が上昇する。 ・業績が悪いと通常は株価は下落する。 |
市場予測とのずれ | ・決算がコンセンサスと一致すると株価は安定する。 ・コンセンサスとの不一致があると株価が急激に変動する。良いサプライズだと上昇し、悪いサプライズだと下落する可能性がある。 |
決算時の説明やコメント | ・経営陣のコメントが投資家にとって好意的であれば株価は上昇する。 ・ネガティブなコメントの場合は下落する。 |
情報の信頼性と透明性 | 決算説明の信頼性が低く、情報が不透明(あいまいな情報)だと、投資家が不安になり株価が下落する可能性がある。 |
大口投資家の動向 | ・機関投資家などの大口投資家が買えば株価は上昇する。 ・機関投資家などが売れば株価は下落する。 |
※ここに「大口投資家の動向」を追加した理由は、決算説明の内容によって大口投資家が動けば株価が変動からです。
オリエンタルランドの決算発表翌日の値動き
下記の画像は2023年10月31日のオリエンタルランドの5分足です。
寄り付き直後は少し上昇したのですが、その後4500円付近まで急落。9時20分からは回復して、一時4900円を超える場面もあり、大引けでは前日の終値よりもプラスでした。
寄りに急落した要因
急落した要因と考えられるものをピックアップすると下記のようになります。
- 1)「市場予測とのずれ」
- 2)「大口による振るい落とし」
- 3)「地合い」
- 4)「京成電鉄の売りではという憶測」
- 5)「手じまい売り」
1)「市場予測とのずれ」
通期の会社予想がコンセンサスには届かなかったので売られた。
通期の業績予想を上方修正し、最終利益の見通しを869億9100万円から1051億8000万円(前期比30.3%増)に引き上げた。今期は最高益を計画する。だが修正後の最終利益予想は市場のコンセンサスを下回っており、保守的な会社計画が投資家の慎重姿勢を強める方向に作用したようだ。
引用元:株探
2)「大口による振るい落とし」
機関投資家などの大口投資家が、一般投資家に対して売りを浴びせ、混乱して売った一般投資家の株を買い集め、そこから一気に買いあがった。
3)「地合い」
日経平均は前日終値よりも400円ほど下げてスタート。業績がよくても、株式市場全体が弱くて下げたという考え方。
4)「京成電鉄の売りではという憶測」
英投資ファンドの「パリサー・キャピタル」が、2023年10月18日に京成電鉄に対して、保有しているオリエンタルランド株の持ち分を15%未満まで減らす提案をしていた。
これにより、京成電鉄の売りではないかという憶測が飛び交いましたが、2023年10月31日の同社の連結決算の記者会見で、保有継続の方針を示しているのでこれはなさそうです。
同日(2023年10月31日)発表した2023年4〜9月期連結決算の記者会見で岡匡一取締役は「株を保有していることでのシナジーがあり、保有方針は従来と変わらない」と述べた。
引用元:日本経済新聞
5)「手じまい売り」
制度信用取引の場合、新規建日から6か月以内に返済しないといけません。そのため、4月の株式分割時に信用買いした人たちが反対売買で返済した可能性があるかもと思ったのですが、速報値を見る限り、売りの方が多いので影響ありませんでした。
コンセンサスとは?
IFISコンセンサスとは、複数のアナリストによる企業の業績予想のことです。
コンセンサスは、楽天証券アプリ「iSPEED」であれば、銘柄を選択して「業績」で確認できます。
「業績」は表になってます。列(縦)と行(横)や下記の関係があります。
列の項目 | ・第1~4四半期 ※左から1Q、2Q、3Q、通期(4Q) |
行の項目 | ・進捗率(今期の実績) ・会社予想 ・コンセンサス ・前期進捗率(前期の実績) |
以下の画像が「iSPEED」で確認できるコンセンサスです。
今回発表された第2四半期の決算(77,745)は、会社予想(55,672)やコンセンサス(76,224)を上回っています。しかし、通期の会社予想(147,364)はコンセンサス(168,689)を下回っており、これが原因で急落したと考えられます。
大口の買いとは?
機関投資家などの資金力がある投資家の買いのことです。買われると株価が急騰し、売られると急落する傾向があります。
「moomoo」という株アプリ(Android、iOSどちらもあります)を使えば、大口投資家の買いや売りを確認できます。
利用するにはメールか電話番号を選んで、無料会員登録が必要です。
銘柄を選んで、下の方にスクロールすると大口などの売買動向を確認できます。
結論:寄りに急落した理由
結論としては、1の「市場予測とのずれ」を狙って、2の「大口による振るい落とし」が行われたと考えるのが妥当のようです。
3~5は関係なさそう。
一般投資家の戦略
こういう場合に、資金面で圧倒的に不利な一般投資家は、どのような戦略をとればいいのか考えてみました。
テクニカル分析
直近10月の月足が25日移動平均線に到達しそうなところまで下がっていました。他の下落時も25日移動平均線で反発しているので、そろそろ反発する可能性があったと考えられます。
また、株式分割で参入しやすい価格になったので、安くなれば買う人がいるはずです。
月足は上昇トレンド、かつ地合い的にも日経平均は11月、12月は上昇しやすい。
簡単なファンダメンタル分析
直近、ディズニーリゾートのチケットが値上げになったり、海外からの来場者も増えていたりしたので、売り上げは増えるはず。そのため、一時的に下げてもそのうち回復すると考えられます。
また、2024年には新アトラクション(アナとエルサのフローズンジャーニーやラプンツェルのランタンフェスティバルなど)や新ホテル(東京ディズニーシー・ファンタジースプリングスホテル)が営業開始となるため、売上も上がるはず。
テクニカルとファンダメンタルを使って総合的に判断
まだ、保有していないのであれば、長期保有を前提に、テクニカルを信じて買い判断ができます。
ただし、コンセンサスに届かなかったというのがあるため、「下げるという前提」で値動きを確認し、下げた場合は下げ止まるのを待ってから買えば大口の売りにだまされずにすみます。
もし、すでに持っている場合は、指定の値段で損切して入りなおすという選択肢があります。また、「放置して戻ってくるのを待つ」でもいいかもしれませんが、変なクセがついて損切できなくなるので要注意です。
※あくまで個人的な見解です。