2023年11月15日の早朝に、MSCI指数の標準指数(スタンダード・インデックス)の構成銘柄の見直しが発表されました。
日本株は、10銘柄が除外され新しく採用された銘柄はゼロ。MSCI指数から除外された銘柄は株価が下がると言われており、実際のところどうなのかを調査しました。
その結果は予想外でした。では、以下から調査結果を紹介していきます。
※あくまで個人的な調査結果です。
MSCIの「標準指数」とは
「標準指数」は、モルガン・スタンレー・キャピタル・インターナショナル(MSCI)が算出する指数の一つで、多くの機関投資家や投資信託のベンチマークとして採用しています。
MSCIが標準指数から企業を除外する理由は、その企業が特定の基準を満たさないためです。詳細は不明ですが、企業価値、取引の流動性、財務健全性などが基準値に満たないため、削除されることがあります。
除外された時の影響
この指数から除外されることは、一般的には株価にとって好ましい状況ではありません。
なぜなら、多くの機関投資家や投資信託が「標準指数」をベンチマークとして参照しているため、指数から除外されるということは、彼らのポートフォリオから一時的に削除されることを意味し、それにより株価が下がる可能性があるからです。
削除された銘柄
今回削除された銘柄は下記の10銘柄です。
「前日終値」「発表後の始値」「発表後の安値」「発表後の終値」と「直近の業績発表」を比較してみました。
除外された銘柄 | 前日の終値 | 発表後の始値 | 発表後の安値 | 発表後の終値 | 前日比 | 直近発表の経常利益 |
---|---|---|---|---|---|---|
サイバーエージェント(4751) | 809.7 | 824.7 | 823.1 | 855.6 | +45.9 | ✕(-64.1%経常減益) |
GMOペイメントゲートウェイ(3769) | 7,894 | 8,446 | 7,878 | 8,362 | +468 | ✕(-40.6%経常減益) |
博報堂DYホールディングス(2433) | 1,117 | 1,147 | 1,086.5 | 1,109 | -8 | ✕(-20.3%経常減益) |
京王電鉄(9008) | 4,369 | 4,150 | 4,070 | 4,098 | -271 | 〇(305.7%経常増益) |
小林製薬(4967) | 6,702 | 6,720 | 6,593 | 6,754 | +5 | 〇(1.9%経常増益) |
栗田工業(6370) | 5,072 | 5,080 | 4,905 | 4,979 | -93 | 〇(0.2%経常増益) |
LIXIL(5938) | 1,764 | 1,773.5 | 1,746.5 | 1,769 | +5 | ✕(-70.6%経常減益) |
パーソルホールディングス(2181) | 241.4 | 239.5 | 227.1 | 238.2 | -3.2 | 〇(8.5%経常増益) |
ウエルシアホールディングス(3141) | 2,507 | 2,527 | 2,463 | 2,606.5 | +99.5 | ✕(-4.0%経常減益) |
日本ガイシ(5333) | 1,922.5 | 1,762.5 | 1,762.5 | 1,813.5 | -109 | ✕(-0.16%経常減益) |
この日の日経平均は前日比「+823.7(33,519.70)」だったので、日経平均によるつられ安というのは考えられません。
MSCI発表後の終値が前日終値を下回ったのは5銘柄。
発表後の日中の安値が前日終値を下回ったのが9銘柄ありました。
個々の銘柄の「直近発表された業績」と「大まかな値動き」は下記のとおり。
サイバーエージェント(4751)
2023年11月1日に発表された決算発表では、前期比で経常利益が-64.1%の減益。
サイバーエージェントの発表後の終値は、前日終値から+45.9で、日中も前日終値を下回ることはありませんでした。
GMOペイメントゲートウェイ(3769)
2023年11月13日に発表された決算発表では、前期比で経常利益が-40.6%の減益。
GMOペイメントゲートウェイの発表後の終値は、前日終値から+468でした。始値は大幅高ではじまりましたが、日中は前日終値を下回る場面もありました。
博報堂DYホールディングス(2433)
2023年11月14日に発表された決算発表では、前期比で経常利益が-20.3%の減益。
博報堂DYホールディングスの発表後の終値は、前日終値から-8で、日中は前日終値を下回る場面もありましたがそれほど大きな影響はなかったように見えます。
京王電鉄(9008)
2023年11月6日に発表された決算発表では、前期比で経常利益が305.7%の増益。
京王電鉄の発表後の終値は、前日終値から-271で、日中は始値から終値まで前日終値を上回ることはありませんでした。
小林製薬(4967)
2023年11月7日に発表された決算発表では、前期比で経常利益が1.9%の増益。
小林製薬の発表後の終値は、前日終値から+5で、日中は前日終値を下回ることもありましたが最後は前日終値を少し上回っています。
栗田工業(6370)
2023年11月7日に発表された決算発表では、前期比で経常利益が0.2%の増益。
栗田工業の発表後の終値は、前日終値から-93で、始値は前日終値よりも高いのですが、日中は前日終値をずっと下回っています。
LIXIL(5938)
2023年10月31日に発表された決算発表では、前期比で経常利益が-70.6%の減益。
LIXILの発表後の終値は、前日終値から+5で、日中は前日終値を下回る場面もありました。
パーソルホールディングス(2181)
2023年11月10日に発表された決算発表では、前期比で経常利益が8.5%の増益。
パーソルホールディングスの発表後の終値は、前日終値から-3.2で、日中も前日終値をずっと下回る展開が続きました。
ウエルシアホールディングス(3141)
2023年10月10日に発表された2月期の中間決算発表では、前期比で経常利益が-4.0%の減益。
ウエルシアホールディングスの発表後の終値は、前日終値から+99.5で、日中は前日終値を下回る場面もありましたが、最終的にプラスで引けました。
日本ガイシ(5333)
2023年10月27日に発表された中間決算発表では、前期比で経常利益が-0.16%の減益。
日本ガイシの発表後の終値は、前日終値から-109で、日中も前日終値をずっと下回る展開が続きました。
考えられる戦略
「発表後の日中の安値」が「前日終値」を下回ったのが9銘柄あったことを考えると、MSCI除外対象となった銘柄は一度売却した方がよいというのが結論です。
京王電鉄は、直近の経常利益が前期比で305.7%となっていますが、それでも売られてしまったことを考えると、業績よりもMSCIの判断が優先されると考えられます。
また、一部の銘柄を除き、午前11時ころまでは下落する傾向があるので、そこまでは様子見して、5分足でトレンド転換したのを確認してから購入するのがいいかもしれません。
まとめ:MSCI指数から除外される銘柄
以上、MSCI指数から除外される銘柄の株価について紹介しました。
10銘柄中9銘柄で前日終値を下回る場面がありました。売り方も空売りを狙っている可能性があるので、MSCI指数から除外される可能性があるのが分かった時点で、一度売却する方がよさそうです。